渋谷に福来たる~古典ムーブ/夏1番2014”(8月13日) [落語会]
お盆と正月の時期は、東京原住民にとっては快適だ。交通機関はすいているし、車もこまないし、空気も心なしかきれいだ。晴れていれば空も青い。こんな時にどこかへ(東京以外)に行くなんてもったいない。というわけで、決めかねていた毎日落語会へぎりぎりでチケット取って行ってきた。去年この会は、落語をやるには全く不適切なZEPPダイバーシティというライブハウスで行い、演者さんにもお客にも不評だったので迷っていたのだ。さくらホールも2階席だと声が聞き取りづらそうだけど、ライブハウスよりはましか。
・狸の札 市助
・鰻の幇間 一之輔
・三枚起請 三三
仲入り
・らくだ 白酒
はるか上から見下ろす落語会は、正月の日本橋公会堂以来だ。あの時は2階のまばらな自由席でホントに見づらくて、三三さんがでてくると、お~いこっちにも客がいるよ~とばかりに(もちろん黙って)手を振ると、幸せなことに手を振り返してくれた。だが今回は2階まで満席、そんなことはできっこない。
市助さん 遠目ではあるが、見かけもしゃべりも狸に似合ってると思う。軽く楽しく笑わせてくれて、好感がもてる前座さんだ。札に化けた子狸のらしさがよく出てて、時々聞きづらいのはホールのせいだ。いい感じで始まった。
一之輔さん パンフレットを書いた担当者をプチダイエットしか書くことなかったのかと、紹介文にだめだしして、まくらはお子さんとの夏休みのお出かけ。スカイツリーは東京タワー、ディズニーリゾートはとしまえん、シーは石神井川、ドナルドは石神井川のダックと、漫画みたいな家族風景。すごく面白かった。鰻の幇間は長い噺じゃないからどうするのかと思っていたら、おみやまでを持ってかれたで終わらず、従業員にダメだしして笑わせる。すごくまずそうな鰻なので、後で出てきた三三さんが鰻食べたくなくなるって言ってたが、同感!
三三さん 三枚起請は久しぶりかもしれない。棟梁、猪のさん、清公の3人三様の起請のエピソードにまた三様の思いを笑わせつつきっちり演じわけ、廓のおかみの棟梁への対応のうまさったらない。こういうやり手のおかみの姿が、三三さんがやるちょっとしたしぐさに合わせて浮かんでくる。喜瀬川も最後の最後に本性出すけど、あくまで野暮にならないちょっとかっこいい悪女なのがいいな。古典のお手本のような、すばらしい出来だった。
白酒さん 先週は真近で聴いたのに、この日は遠い~。でも、白酒さんらしい毒吐きもあり(毎日新聞でエッセイみたいのを連載したと思ったら、もう打ち切りだそう。)でもうちは東京新聞だからいいもんね、とまた毎日の担当者に一之輔さん同様ダメだし。東京新聞で水曜日に白鳥さんやたい平さん、ナイツが担当してるコラムを、ちっとも面白くない吉本の女芸人にかわって白酒さんが書いてくれないかなあ。白酒さんの壷中の天は面白かったもの。らくだは、屑やさんの「アッと思ったんですよね。」という、兄いに対する感想がツボだった。ストレートに表現しない結構気の細やかな屑やさん。なのにそれが5杯目あたりからの態度が逆転する様が見事だ。そんな酔っ払いの可笑しさが落合の火屋まで衰えることなく下げにまで至る熱演。
あ~今日はどの噺も楽しかった~!!と大満足の渋谷であった。
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